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小悪魔の目覚め

 乳房の上を玉となった水滴が緩い弧を描き伝い落ちていく。
 まだ若々しく張りのある肌はうっすらと香油を塗ったように香りを放っている。
 鼓動が体の熱を積み重ね、塗れた体を蒸発させそうだった。
「もっと楽にしていいんだよ」
――ついにここまで来ちゃった。
 相手の駿は同じ既婚者で美桜(みお)より九歳年上で四十を過ぎていた。
 飛行機で二時間もかかるほど遠く滅多に会う機会などないと美桜は思っていたが、たまたま駿の出張の予定が都合よく近くになり、会うこととなった。
 最初はネットのミニブログでの出会いで、たまたまアップした素足の写真を誉めてくれたのが始まりだった。そしてメッセンジャーで話すようになり、互いに日常生活の報告や雑談が主だったが、ひょんな会話から「僕は君に会いたいと心から思っているよ。君は素敵な女性だからね」と言われ胸がときめいた。
 そこから少しずつ性的な話も交えながら打ち解けて話すようになったが、遠方であることも含め、仕事もあり子供もいる美桜にとって妄想だけが膨らんでいく存在だった。
 夜な夜なパソコンに向かいちょっとした背徳感と刺激的な内容に蛍光灯の明かりの下、素肌を少しだけ晒すこともあった。肌を滑る自らの指が心地よくも雌の情動を少しずつ掻き立てていくようだった。
 初めて会った印象は会う前と比べ崩れることはなかった。
 美桜は少しほっとしたと同時に幾たびか自らの指で想像した彼の肉体を思って頬を赤くさせた。
 丁寧に挨拶をした駿はあまり馴染みのない土地であるにも関わらず穴場のレストランを予約してくれていた。美桜がよく通る場所で、路地に入ったところにあるイタリアンのレストランだったが今まで気がつくことはなかった。
「よくこんなところ知ってたね。私結構近く通るけどぜんぜん知らなかった」
「ああ、会社の知り合いが教えてくれたんだよ」
 家族には「友達と遊んでくる」と言って美桜は出てきた。特にうるさいことを言わず自由にさせてくれるので日常での気持ちはずいぶん楽だったが、今回はさすがに男と食事をしてくるとは言えず、騙したようで罪悪感があった。 レストランのテーブルの椅子を駿に引かれエスコートされる気分は心地よく、かといって椅子に座り駿を目の前にすると、家族のことも同時に意識してしまい自分が此処にいていいいのだろうかという心の暗雲は晴れることはなかった。
 何度か抱かれることを想像した人間を目の前にするのは少し恥ずかしい。それよりも彼は私のことをどう思っているのだろうか。理想通りだっただろうか、それとも好みの女ではなかっただろうか。
 普段はメッセンジャーであれほどしゃべっていたが、不安と緊張で美桜から話し出すには勇気が必要だった。その不安を駿はときほぐしていくようだった。
 会話はセクシャルな話題やプライベートにずかずかと踏み込んでくるようなことは一切無く、ユーモアを交えた雑談だった。
 ふと駿が見つめてくるのに気がつき目が合うと、駿はふと目をそらした。
「え? どうかしたの?」
 美桜はもしかしたら自分の容姿が好みに合わなかったのではないかと勘ぐった。
「いや、こうして間近で改めて見ると、写真で見るより断然綺麗だなと思って」
 と駿は少し顔を赤らめた。
 シャイなところもあるのかと愛しく感じた美桜はますます駿のことを意識し、内心嫌われたわけではなかったとほっとした。
「お世辞でも嬉しいです」
「お世辞なんてとんでもない。お世辞が言えるほど生半可な気持ちじゃないからね」
 美桜の胸がドンと打たれ熱くなった。
――それって、本気だってことだよね。
 料理はアンティパスト、つまり前菜にさしかかりワインもまだ一口二口しか飲んでいないのに美桜は久しく感じたことのないときめきに熱く酔い飲まれていきそうだった。
 駿と過ごす時間が楽しく、このまま帰りたくないという気持ちが膨れ上がり、店を出る頃には離れたくないとさえ思った。
 店の外に出たとき、外気を浴びて寂しいと感じた。温もりに浸りたい。しかし楽しかった時間で忘れかけていた家庭のことも気にかかる。
 この場所が分かれ道。背に受けるレストランの光が切なく感じる。
 もうここで今日という時間は終わってしまうのか、と。
「このまま美桜と別れたくはない。俺は君のことが好きだ。もう少し一緒にいてくれるかい?」
 ハッと伏し目がちになった瞳をあげると駿の真剣な顔があった。
「あっ……」
 言葉に詰まり息苦しくなる。答え一つで全てが決まってしまう。一度この人に抱かれてしまえば今までの何かはきっと壊れてしまうであろうことはわかる。でもきゅっと締め付けるような胸の甘さと誘惑に浸り、久しく感じていなかった「女」であることにもう一度戻りたい。
「俺じゃ、だめかい?」
 美桜の迷いに不安になったのか駿は視線をはずさず聞いてきた。
「あ、はい。私で、よければ」
 答えてしまったものの、どうしていいかわからなかった。自ら男を求めていくほどの大胆な女でもない。平凡に、夫との恋愛の熱は冷めたものの仲はよく暮らしてきた。背徳の道へ一歩入っていく返事をしたことに戸惑っていた。
 ホテルへは迷うことなく着いた。駿もこうなることを想像して下調べしていたのだろうか。美桜も期待していなかったといえば嘘になることはわかっていた。
 部屋は後三つしか空いていないのを見て美桜は「こんなに混むものなんだ」と興味がわいた。みんなそれぞれの部屋で思い思いのセックスを楽しんでいるのだろうか。想像するだけで恥ずかしいような、しかしここまで来てしまってもう引き返せないことが家族への背信になるのではないかと、踏み進めれば進めるほど両極端な気持ちがせめぎあっている。
 部屋はウッド調の落ち着く部屋だった。証明も薄い暖色であたたかい。
 駿がネクタイを外し背広を脱ぐと美桜は緊張した。
「大丈夫。不安だったらこのまま話だけして帰ろう。それだけでも楽しいんだ」
「え? そんな……」
 自分だって抱かれたい。その気持ちを伝えることが恥ずかしい。今でも胸が爆音を奏でている。ダブルベッドの上に座り、このまま話だけして帰ったら女として魅力がないと思われたようで少しだけ悲しい。
 美桜の白く細い指先が膝の上で固く曲げられた。
 駿は横に座り美桜の手に手のひらを重ねてきた。
 ゆるやかに振り向いた美桜の顎を手に取り、唇は重なる。
 最初は軽い口づけ。美桜の瞳が思わず潤む。
 ぽっかりと不安げに開いた美桜の唇に駿はするりと舌を差し込んでくる。
 久しくしていなかった濃厚な口づけ。絡み合い、解かれまいと吸い合う。体が上気してくるのがわかる。
 口づけの後、美桜の呼吸は既に乱れていた。
 もっとしていたかったが、おねだりすることも恥ずかしくてできない。
「一緒にシャワー、浴びようか」
 と駿に優しく手を取られ、美桜は涙の出そうな瞳で頷いた。
「脱ぐところを、見ていてもいいかい?」
 駿の申し出に断ることもできず、顔を赤らめながら一枚一枚脱ぎだす。
 夫以外の男の目の前で素肌をさらす。
 この行為が、妻であることを一枚一枚脱ぎ去り、女へと戻る儀式のようにも思えてくる。
 ブラジャーを外し、乳房を晒す。ショーツを片足から脱ぎ取り、床へと落とす。
 白くすらりと伸びた手足が震えそうで強張る。鼓動で小ぶりの胸が震え、一本線を引いたようなへそが呼吸で上下している。
 恥ずかしくなり、胸とアンダーヘアを手で隠し、視線を落とすと脱ぎ落とした下着が見える。
 それは「妻」であることを守ってきた象徴にも見えた。
「綺麗だよ。まるで二十代前半の肌のようだよ。とてもその年には見えない。君は本当に綺麗だ」
 駿の言葉で磨かれ、余計に綺麗になるような気持ちがした美桜は嬉しさを隠し切れずに微笑んだ。
 駿も早々と美桜の前で服を脱ぐ。
 何度も想像した体。無駄な贅肉があまりついていない美桜好みの体だった。
 手を伸ばして触れてしまいたい衝動を抑えながら、手を引かれシャワールームへと入る。
「洗ってあげるよ」
 駿の声と共に水がタイルを打つ音が鳴り響く。むっとした湯気が立ち上り、蒸気を吸い込んだ美桜は自分の呼吸が湯気で乱れているのか、緊張で乱れているのかわからなくなってくる。
「もっと楽にしていいんだよ」
――ついにここまで来ちゃった。
 美桜は張り裂けそうな胸の痛みに立ちくらみがし、駿の胸に寄り添うように倒れこんだ。
 流れるシャワーを見ながら「いくつの水玉が出ては落ちていっているのだろう」とぼんやり感じた。美桜の体にボディーソープのつけられた駿の手が触れていく。
 滑りながら触れる感触にもう喘ぎ声が漏れそうで堪えた。
 何年も男と一緒に風呂など入ったことなどなかった。ましてや子供ができてからは機会など作りづらい。
――夫以外の人に……
 わかっていても逆らう気持ちなど消えうせていた。
 震えるような肌の感触に腰が勝手にくねり駿の首筋に荒い息を吹きかける。
 少しずつ胸の奥が荒くざわめいてくるのを感じ、駿の首筋を舐め上げた。
 背中越しから胸を洗われ、胸の上を駿の手が滑って乳首を擦ると「はあん」と愉悦混じりに喘いでしまう。
 駿の手が降りていくと美桜は「自分で……」と恥じらいから静止しようとしたが、ソープのせいで閉じた足の抵抗もささやかだった。
 すっと割れ目をなぞり、指が入り口に入りかけると腰が震えた。
「あまり、なぞっちゃダメです」
 かわいげのある甘い声を発しながら駿に抱かれ、下の割れ目を優しくなぞられる。
 敏感な突起を指で何度もなぞられ、美桜は逝きそうになる。
「ここじゃ、ダメ。お願い……」
 このまま逝かされて、心乱れたまま全てが終わってしまうのが嫌だと感じた美桜はバスルームから出てベッドに行くことを催促した。
 体を拭き終わった美桜は心を落ち着けようとした。
 このままリードされてしまっては、感じるものもすべて感じられないのではと思った。
――胸の鼓動が止まらない。こんなの、初めて……
 恋にも似た背徳の刻み。刺激的な部屋の空気が美桜の全身を打つようだった。
 鼓動で震える美桜の体を駿は抱きしめる。
 胸の中で、疼いてたまらないことに美桜は初めて気がついた。
 胸の嵐が収まるように思い切り散らされたいと思った美桜は強く抱きしめ返した。
 駿の舌が耳たぶをしゃぶり、首筋を伝い乳輪をなぞると美桜の体から力が抜ける。
 抱かれながらベッドに倒されると、駿は美桜の内股を舐めあげてくる。
 先ほど指で刺激されたせいだろうか、直接舐められなくても舐められたように感じ、声を高ぶらせていた。
 お願い早く舐めて、などとはしたない言葉は出せない代わりに心の中で叫んだ。
 まるで湖面にたゆたう木の葉のように体が浮いているようで、少しでも気を緩めると我を忘れ沈んでいきそうなほど気持ちが良かった。
 駿の手が美桜の股を開くと美桜の白い素足は淡い光を滑らせていくように妖しく光った。
――ごめんなさい。私、悪い女です。
 誰にでもなく、美桜は自分に言い聞かせるように心の中でつぶやいた。
 駿の舌が美桜の割れ目をなぞりだすと、美桜はもう何も考えなかった。ただ、今感じる快楽に身を任せ、本能のまま、時に溺れていこうと感じると声が自然と漏れ出した。
 久しく感じたことのない悦楽の震えが美桜を包みだす。ざらついた舌が割れ目についた敏感な突起を擦り痺れる。
「あ、ああ、いいです。いいのっ!」
 白い肌にうっすらと光沢が浮かんでくる。女の匂いと汁を散らしながら、もだえる。
「もう入れて。欲しいの。お願い」
 我慢できなくなった美桜が懇願すると駿はベッド脇にあったコンドームを早々とつけ、美桜の奥へと挿入する。
 入ってくる感触。甘く痺れてゆく。その後は揺さぶられ掻き混ぜられ、わからなくなりそうなほど乱れ声を上げる。
「綺麗だよ。君はとても綺麗だ。好きだよ美桜」
 駿の声に答えようとするが息苦しく、喘ぐことしかできなかった。
 駿に抱かれ、逝かされてしまう。止めないで、狂わせて。
 暴れ狂う獣が美桜の胸の中で吠えるようで、理性を噛み千切り溶かしていく。
 小ぶりの乳房からツンと張り詰めた乳首を吸われると、美桜自身聞いたことのないような喘ぎ声と共に体がのけぞった。
 駿の硬い雄肉が美桜の奥まで届くようで、突かれる度に渦を巻いて昇り上がってくる快楽にとりつかれていく。
 女に戻って男を受け入れ、セックスを悦んでいる。
 充実した、締め付けられるような快楽。
 まるで全て忘れ去って生まれ変わるかのような時間。上り詰めてくる。体が強張り、もうすぐ逝きそうなのがわかる。
「美桜。俺もう逝くよ」
「私も。お願い一緒に……逝くっ、いくいくぅーん!」
 美桜の膣の中で駿の肉が躍動しているのがわかる。
 駿が美桜の髪を優しく撫で口付けをしてくると、美桜は迷うことなく首に手を回して抱きつき舌を絡めた。
 口付けし終わると美桜は呼吸を整えながら駿を見つめた。
 駿は優しげな瞳で美桜を見つめる。
 美桜は別のことを思っていた。
――この人は、私を愛してくれるだろうか。
「好きだよ。美桜」
 駿の言葉は嬉しさと共に染みてくる。
 美桜は「はい」とだけ答えた。
 もうすぐ終電も近い。シンデレラでいられる時間は終わろうとしていた。それ以上遅く帰るとさすがに心配される
「今日は会ってくれてありがとう。本当に君でよかったよ」
「私も駿さんでよかった」
 裸のまま駿の胸に寄り添う。
「また会ってくれるかな?」
「私でよければ」
 罪悪感が全て消えたわけではなかった。だが、女として潤っていたい衝動は抑えきれない。
 小さな悪魔が目覚め、乳を欲するように美桜の心に犬歯を立てて離れまいとしていた。
 忍ぶ恋。いつかは終る恋。刺激的な悦楽の刹那。
 今日は抱かれたことを思い出すだろう、と美桜は思った。
 駅まで送ってくれた駿に手を振り改札で別れる。
 いつまでも見送ってくれる駿に嬉しさを覚えた。
 終電の中で美桜は暗闇の中次々と流れゆく建物の電気の光りを見ながら思った。
 あの時、好きだと言わなくてよかった。もう少しだけ大事に取っておこう。
 一人、まだ残る体の余韻を感じながら子悪魔は微笑み、また会えたらいいな、とエンゲージリングがはまった白く細長い指先を見つめた。
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テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

恋は革命 ~2012年バレンタインデー企画~

 ポストを見ると車検の案内が届いていた。否が応にもバレンタインデーを思い出させる不快な気分を陽平は味わった。
 世はバレンタインデーだと浮かれる風潮にも苛立ちを隠せない。
 それもこれも二十年前の学生時代に記憶は遡る。「バレンタインデー」という言葉が記憶を引き戻す。
 学生時代付き合っていた女がいた。今思い出すと青春時代の恋は今よりも無知な分、懸命になれた気がした。
 今は経験をした分、恋に臆病になってしまったような気がする。どうしてあれだけ真っ直ぐになれたのか不思議に思うほどで、勇気と無謀の判別がつかないほどだった。純粋に恋ができた。
 かといって今ものを少し知って年を取り、賢くなっているかと言ったら疑問だ。それは「賢く恋をする」などという命題が成り立つのか、という考えが浮かぶからだった。考えて恋をするものでもなく、ドラマに出てくる紳士のようにうまく恋が訪れて自分なりに組み立てて恋を運んでいけるわけでもない。現実は淡々と過ぎていくものだ。
 頭の中で考えがまとまらず余計に苛立つ。車検のためにまたお金が少なくなり趣味のものを少し我慢しなくてはいけなくなることにも不愉快な気持ちを覚えた。
「それもこれも」と晩酌をしながら思い出したくないことを思い出す。学生時代のトラウマを。トラウマの元凶となった元彼女を。

 大学に入ってすぐにできた彼女がいた。
 お互い三年ほど付き合っていて、多少の喧嘩はあったにしろ特に問題はないと思っていた。
 バレンタインデーも二度過ごし、何度となく体の関係も結んだ。それがクリスマス辺りからおかしくなり「バイトで忙しいから」とデートも断られるようになった。
 そして「おかしい」と思い出した一月を過ごし、バレンタインデーにようやく都合がついたかと出会ったら唐突に「私、今付き合ってる人いるんだ」とわけのわからないことを告白された。
「は? お前何それ。付き合ってるの俺じゃないの?」彼女はつまらなそうに視線を外した。
 心臓は既にブリキの中で音を立てて外れそうな錆びた鉄屑のように軋んでいる。
 彼女は冷酷だった。
「もう別れようよ。私好きな人できたから。もう新しい彼と付き合ってるから」
 陽平は怒り狂いそうだった。言うことだけ言って去ろうとする彼女の肩を強く掴んで怒鳴り散らした。泣きそうなほどに怒り狂った。
 彼女は陽平の変貌に泣きわめき「もうやだ。だから嫌いなの!」と逆に攻め寄ってきた。
 陽平は言葉を失う。
「だから嫌いって……」
 信じられないような理不尽な言葉を次々にぶつけてくる。あまりにも勝手でひどすぎる。こんな人間と付き合っていたのかと誰を恨んでいいのかわからなくなっていた。
 周囲には人がいる。通り過ぎる人たちの視線が痛かった。
 何せ街中に呼び出され立ち話ですまされたのだから。
 その時は「もういいでしょ。さよなら」と一言も言えない陽平を置いて消えるように去っていった。
 それからは失意のあまり、しばらく立ち直ることができなかった。人間不信にもなった。
 就職活動にも影を落としそうになり、ことあるごとにトラウマを与えた元彼女を憎んだ。
 危うく人生のすべてがあの日によって狂いかねなかったのだ。

 それだけの思い出があり、かつ車検の日にも重なるバレンタインデーは憎むべきものでもあった。車検当日、事前に書類手続きをした車を預ける。
 俺にはチョコなど関係ない。何がバレンタインデーだ。
 心に渦巻く不快感を忘れようと努める。
 去ろうとする陽平は視界の影に入った女性を二度見した。車検場で「よろしくお願いします」とスタッフに頭を下げる女性の姿に陽平は釘付けになった。
 ふわっと舞う髪をかき上げ振り向く姿は、まるで輝いているように見えた。思わず「あっ」と声をあげる。
 よく小説で書かれる「雷に打たれるような」とはこのことかと感じた。
 脳天を直撃する衝撃の後、心臓を鷲掴みにされる。
「え?」と女性が気がつくと「お、あ、ああ」としどろもどろになりながらも瞳が潤んでくる。体が勝手に感動を覚えていたのだった。女神を目の前にしているような神々しさを感じていた。女性は近づいてくる。
「どちらかでお会いいたしましたか? もし私の方が忘れているような失礼があったのならお許しください」と恭しく指を揃えて頭を下げる。
 陽平はすっかり恐縮してしまい、自己紹介を始め、これが初対面であることと、一目惚れをしたであろうことを素直に伝えた。一目見ただけで釘付けになったと。
 女性は口元に手をあてて「うふふ」と上品に笑う。
「おもしろい御方。もしお時間あるのでしたら、この後お食事でもいかがですか?」
 内心「嘘だろ」と陽平は思っていた。こんなにうまく物事が運ぶのか、しかしここで引き下がっては男がすたる。
「は、はい! 私にお任せください!」大きく出た。
「私からお誘いしたのですから」とタクシーで移動した場所は高級ホテルだった。
 ビジネスマンが利用するようなホテルとは違い名前だけでも有名な格式高いホテルだ。
 いきなり昼食でこんなところに来ることなど頻繁にあることではない。恐縮しながら女性の後をついていく。
 エレベーターがどんどん上がっていき、レストランがある階を過ぎていく。
 どこへ行くのだろうと思っていると最上階のスイートルームへと入っていく。
「え? ここでですか?」と驚きながら言うと「そうですよ? お嫌いでしたか?」と広々とした部屋に通されて言われると首を横に振れなかった。
 何がどうなっているのだろうと混乱しそうだった。陽平が考えていたものとはスケールが違いすぎた。
 部屋の中に食事が運び込まれる前も何一つ気まずい思いをすることなく会話は進んでいく。それだけ女性の会話の運びかたが柔らかでうまかった。教養があり人を飽きさせない話題の豊富さがある。
 完全に陽平は女性の虜になっていた。食事中に突然「俺、あなたのこと生涯愛したいと思います。あなたをお守りするナイトになります!」と宣言した。
 初対面でとか、あまり相手のことを知らないとか、そんなことはとても細かなことに思えた。大事なのは自分が目の前の女性を運命の人だと思ったことだった。
 これは生涯に一度の出会いに違いない。俺はこの人に恋をするために生まれたのだ。
 心の中で一片も疑いようのない気持ちが完全に陽平を取り巻いているのがわかった。
 接しているだけで呼吸がふるえる。これが本物の恋だ。俺は今まで何をしていたのだ。本物の気持ちの前には陳腐な考えは無力なのだ。
 始終圧倒されっぱなしの陽平に食事のすんだ彼女は言う。
「私のこと、抱きたいですか?」
「も、もちろん。あなたをこの胸に抱きしめ慈しみ愛することができたのなら、世界の神々を敵に回しても後悔しないほどです!」
 恋は人を詩人にする。いつもは絶対口にしない言葉もすらすら出てきた。彼女の言葉がいかに突拍子もないことであるか意に介す余裕など高揚感で消し飛んでいた。
「いらして」とベッドルームに案内される。
 彼女は陽平に背を向けながら服を一枚一枚散らしていく。艶やかな後ろ姿に息を飲む。
 背中越しに視線を向けてくる姿がなめらかな捻り曲線を描いて官能の汁を滴らせている。
「い、いいのですか?」と聞くと「お互い抱き合わないとわからないことがたくさんあるでしょう?」と微笑みながら答えた。
 下着しかつけていない彼女の姿に息が乱れてくる。
「あとはあなたが脱がしてください。女からどう下着を取り去っていくかも、人なりが表れますから。お好きになさってかまいませんよ」
 彼女の言葉に一瞬にして緊張が走る。女性から下着を取るときに手が震えるのは生まれて初めてだった。
 苦労したことのないブラジャーのホックが手が震えてうまく外せない。
 情けない、しっかりしろと心の中で叱咤激励した。一生に一度の恋、お前の掴んだ一生分の幸運を無駄にするな。
 何度も心の中で奮い立たせながら、ようやくブラジャーを外していく。彼女は試すように静かにしていた。
 手を回せば膨よかな胸があることはわかっていた。しかしここで急ぐわけにはいかない。相手だって緊張しているはずだ。紳士であろうと少しだけ自制的な言葉が浮かんでくる。
 心の中ではわかっていても、しかし陽平のいつもの調子ではない。どんどん興奮してきて息が乱れてくる。股間は痛いほど膨張しきっているのだ。極上の女神を前にした飢えた狼。
 我慢しきれなくなり「もうダメだ」と素直に口に出した途端、優しくすることなどどうでもよくなった。
 一気にベッドに押し倒し桃のような胸を強く揉みしだき、果汁をほとばしらせるようにかぶりついた。陽平には野獣の高揚感があった。彼女は驚いて拒否することもなく少しずつ声を上げる。
「そう。そうよ。お好きになさって」
 言われるまでもなく陽平は彼女の整った体を舐め回す。乳首を強くつまみ、吸引する。硬くなり盛り上がってくる突起を見ると渇望は高まってくる。
 すぐにでも股間の硬くなったものを入れて自分のものとしたい。ショーツを剥ぎ取り足を開かせ音を立てて吸う。
 既に洪水となっていた彼女のそこは美しく濡れ輝いていた。
 「綺麗だ」思わず声に出す。
「すぐにでも入りますわよ。搾り取ってさしあげますわ」
 陽平は大空に雄叫びを上げるかのように一気に彼女の奥へと突き入れた。最初すんなり入ったかと思った。しかしすぐにきつくなり、突き入れるごとに締め付けられるように女の肉が絡んできた。引き抜こうとするときに吸引されているような感触がある。
「こ、これは、すすす、凄い。こんなの味わったことがない」
 彼女は不敵な笑みを浮かべ「お気に召したかしら」と余裕さを見せた。少し悔しくなった。
 なんとしても彼女の顔を快感で歪ませてやりたい。そんな支配欲が湧き上がってくる。
 彼女は既に音がなるほど大洪水となっていたが陽平の肉は彼女の中で揉みしごかれているような快感に包まれていて、だんだんと余裕がなくなってくる。短距離を全力で走っているように息が切れてくる。
「ああ、ダメだ。もう逝ってしまう」
 すると彼女は微笑みながら「すべて私の中にお出しになって。吐き出してかまわないのですよ」と言い、極限まできた陽平の肉をきつく締め上げてとどめをさした。
 陽平の肉の先から一度勢いよく漏れ出すと止まらずに何度も出てきた。声を上げながら出す陽平。
 出している間、本当に光に包まれていた。目の前が白くなり、天井の雲間へと連れていかれるような気持ちになっていた。
 女神に抱かれていくとはこのことかと恍惚の表情で虚空を見ていた。
 彼女の膨よかな胸に倒れこみ、抱かれる。男気を示したことなどすっかり忘れて子供のような気持ちで柔らかさに包まれていた。

 外には既に街の光が散りばめられていた。
 水を一杯飲んで気持ちを落ち着かせ「あなたのような人に出会ったのは本当に初めてです。私にとって最高の、いえ、きっとこの地球上で最上の女です。私はあなたの前では赤子同然かもしれません。でも決めました。私はあなたを生涯愛すると」と臆面もなく宣言した。
 考えなくても口から自然と言葉が出てくる。言っても言い足りないほど。
 彼女は優しい微笑みを、なおもたたえている。その余裕の笑みが尊くもあり、手の届かないものを示しているようでもあり、自分がまったく彼女の気持ちへと影響を与えていないだろうことが感じ取れ、少し悔しかった。
「また会ってくれますか?」
 彼女は「ぜひ。獣の共演に遠慮があっては白けてしまいますものね。今度会った時はなお高めさせてください」意味深な言葉を放った。
 最上の体験をするとトラウマが小さなものになっていた。バレンタインデーという日が、また塗り変わっていきそうだ。
 ホテルの出口で陽平は夜空を見上げた。高揚感のまま拳を突き上げる。今回はすべて彼女の配慮に甘えてしまった自分にも悔し思いが募った。陽平は心にしっかりと誓った。
 きっと彼女を自分のものにしてみせる。彼女を上回る大きな男になってやる。俺は決めたぞ。そして今日の分を何百倍にして彼女を圧倒させ惚れさせてやる。
 決意の日となったバレンタインデー。惚れ込むほどのいい女は、男を強く前進させる。
 月の横に握られる拳には精も根も込めた全身の力が入っていた。


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甘い口どけは一夜で ~2012年バレンタインデー企画~

 カレンダーを見ると憂鬱な気分になった。
 明日バレンタインだし、彼氏もいない。
 あーあ、イベント前にふらなければよかった。
 心の中で少しだけアズミは思った。
 バレンタインデーに一人ぼっちなんて最悪だよ。
 でももっと最悪だったのはふった男の方だった。連絡くれない、メールは無視、趣味に興味もってくれない。
 本当にどうすればいいのかわかんない男だった。
 愛してくれないなら、なんで彼氏になりたいとか思ったんだろ。
 向こうの方が口説いてきたのに、手に入ったらそのままほったからし。
 ちょっといいかなってなびいた途端、少し冷たくなってきて、ふる前は家政婦みたいな扱い。俺の女的な見下し方。
 いきなり家庭の話とか自分の母親の老後の話とかしてくるし、わけわかんない。
 それで私がふったら泣きついてきて、愛してるとかメールも電話もしつこいくらいしてきて、私が連絡していた時はあんなに冷たかったのに、何この変わりようとか思っちゃって最悪だよ。着拒否にしたら職場にまで来た。
 そこまでされたらホント怖かったよ。ストーカーになるんじゃないかと思って、元彼にまで出てきてもらって話つけてもらって、どうしてこんなことになったんだろ。
 元彼は私に好きな人ができてふった人で、凄い私に未練持ってて、私はもう未練も何もないから放置してて久しぶりに連絡した。
 結局話つけてもらって、その場は別れて後でお礼兼ねてご飯おごったんだけど、そこでも、また付き合わないかって言い寄られてどうしていいかわからなかった。
 だって、ふったの私だしちょっと気まずい。
 それにもう前みたいに気持ちがあるわけじゃなかったし、前みたいに気持ちが高まるとも思えなかった。
 でも一人で家にいてカレンダーでバレンタインデー近づいてくるとなんだか一人でバレンタインデー過ごすことが凄く怖くなっちゃって、というか寂しくなった。
 社会人になってからは一度もなかったのに、五年ぶりの一人ぼっち。
 周囲は彼氏がどうとかチョコの話しているのに、私だけ本命ナシ。それはちょっと最悪だと思ったよ。
 それで前日に突然だったけど、「明日夜空いてる? チョコ渡したい」とかメール送って夜に会ったんだ。
 本当はチョコなんてなかった。
 当日驚く様子もなくて「とりあえず、どっかで飲む?」って言ってくれてついていって、久しぶりに楽しくなった。
 酔っていくうちに、ちょっとだけ当時の気分になって、まだ好きでいてくれることがちょっぴり嬉しくなって私から誘ったよ。
 そのままホテル。
 本当は欲しかった。
 二ヶ月近くもしてなくて、一人で慰めるのも寂しいし、大きいお肉を体で頬張りたくて我慢できなくなってた。
 濡れてたんだ。彼の匂いで。
 ホテルの部屋に入って、私から襲ってやろうかと思ったら、彼の方が我慢できなかったみたいで「アズミ。俺お前のずっと好きだったんだ。今もこれからも、俺はアズミのこと愛していく」って言いながら強く抱き寄せられて、口塞がれてくちゅくちゅ舌絡められて、とろーんって気持ちよくなってきた。
 攻めようと思ってたのに攻められて、久しぶりのエッチに体ビリビリさせながら力入ってこなくなって、服一気に脱がされて乳首とか、かぶりつくみたいに吸われて、私いやらしい声いっぱい出て、こんな風にガツガツ散らかされるように食べられるのも悪くないって思いながら感じてた。
 スカートまくしあげられて、すぐに彼の指があそこに滑り落ちてショーツの上から強く擦られる。
 彼の首に手を回してすがりつきながら彼の耳元で思い切り喘いでびしょびしょにしてた。
「パンティーの上からもこんなに濡らしてるよアズミ」嬉しそうに彼が言って、クリの上擦られていっちゃったよ。
 三年付き合ってただけあって、やっぱり感じるところ、覚えてて、私の体のこと知ってて、弱いところ攻めてきて、私の体は喜んでるのがわかった。
 彼が硬くなったのを出して「しゃぶってくれ」と言ったのでひざまづいて、優しく強くしゃぶりあげると「おお!」と気持ちよさそうな声をあげて「う、うまくなったな。気持ちいいよ」と余計に硬くさせて喉を突くようだった。
 褒めてくれて嬉しくなって、彼の感じるところを攻め立ててあげた。
 先を舐め回しながらしごいてあげると彼は弱い。すぐにいきそうになって、入れたがる。唇からこぼれてしまいそうなほどビクビクしてる。
「もうダメだ。入れさせてくれ」と彼がせがんできたので、ようやく主導権が戻ってきた私は彼を挑発するために上に乗り、尻を向けて入れた。背面騎乗位ってやつ。
 目の前で入っているところが見えてお尻がいやらしく振られる様子に彼は大興奮してて、私の中に入った久しぶりの彼のものもギチギチに張っているような気がした。
 口の中でも大きく頬張ったけれど、体でぬちゃぬちゃと頬張る方がずっと気持ちいい。ダラダラと汁が垂れるのわかるよ。
 背面騎乗位ってする方は変な恰好で腰を振るから、とてもいやらしい。
 猿みたいな、犬みたいな恰好で腰だけ振って、凄い感じて、彼の太くてよかった。
 なんか考えられなくなって腰振ることだけに集中しちゃって、いきなり後ろから抱きつかれてバックの体勢にされて突かれた時喘ぎ声は余計高まった。
 擦れるところが違ってきて、硬い肉の先が当たるところも違うと膣の中で太いものが違った圧迫感を与えてきて、もう変になって「もっと突いてよ」って何度も言ってたような気がした。
 もう自分じゃないみたいに叫んでるから、言ってる言葉もどうでもよくって、突いて欲しくって、突かれてよがってた。
 愛してる。愛してる。そう遠くから聞こえてくるような感じで、私は久しぶりの肉の感触に凄い欲しかった飢えを満たされていて、頭の中には「入ってる。いっぱい入ってかき回してる」って感触しか支配してなくて、彼がいきそうな合図が聞こえてきて、肉のぶつかる音が止みそうな気配が近づいていた。
 もうすぐ終わっちゃう。だから私もいかないと、っていう意識だけが働いて彼の肉が当たって感じる感触を自分の中で高めていって、意識集中させて彼と同時にいった。
 そのまま力抜けて倒れこんで少しだけぼんやりしてたけど「俺たちまた付き合おう」と言われて考えるふりして止めた。
 「いい友達でいようよ。今日の分は義理チョコ代わり」って言って誤魔化して、一緒にホテルを出た。
 性欲がすっと消えちゃった時にやっぱり好きではなくなった彼の姿がそこにあって、わがままだけど「愛せるほどの気持ちは持てない」って思ちゃったよ。彼はひどい女だって思うかな。
 バレンタインデーの夜は冷え込んでた。
 カップルがちらほら見えても寂しいとは思わなくなくなってたよ。
 ほんの少しだけ心が温まった夜だけど、本当の幸せはこれから自分で見つけなきゃいけないと思った。
 明日はまた仕事がある。甘い一夜はチョコの口どけのように短く終わって体に少しだけ余韻として残ってた。

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バレンタインハーツ

テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

キャンドルナイト scene3 「バーチャルブライダル」

 白い息。凍りついた夜空に消える。
 男は肩を縮こまらせ、コートの内ポケットから携帯電話を取り出し確認した。
 先日の大雪ですっかり街の様子は変わった。イルミネーションも雪で彩られる。通りを幾人も通り過ぎる。時折アイスバーンとなった交差点の路面で滑って転ぶ人もいた。
 携帯電話を見ながら転んだ人を遠目にちらりと見て、約束の時間に少し遅れるメールを読み終える。
 前に送られてきた写真を画面で確認する。笑顔のロングヘアーの女が写っている。年は二十代前半でも通じるほど若く見える。明らかに大人の落ち着きを払っている男とは年が離れていることが外見から分かる。
 男が待ち合わせに指定した場所のすぐ側に通りの席がバラス張りになっているカフェがある。外で待つのは寒すぎると思い、中でコーヒーを飲みながら待つことにした。
 男は女性を相手にセックスやカウンセリングを行う特殊な出張業を行っていた。出張ホストと大きく違う点は性専門のカウンセリングがメインであることだっ た。料金も一時間あたり出張料入れずに一万円。前金で出張料のみ。それ以上の料金は終わってから。ただ、事前に何度もメールや音声チャットなどで話し合い などを納得のいくまで重ねていくが、いざ当日会うとなると恐怖して逃げ出す女性も中にはいた。
 カップに入れたクリームが、混ざって消えていく。
 通りの木々のイルミネーションの中を人が通ると、誰もが輝いているように見えた。
 溶けて色を変えたコーヒーのクリーム。今晩また雪が降ってくる予報。忙しい師走。街の人々の吐息。
 男は半分ほどコーヒーを飲み終える。時計を見ると約束の時間からは一時間近くも経過しようとしていた。
 冷えきったコーヒーに再度口をつけようとした時、着信音が鳴り携帯電話を取る。
 メール。約束の女。
「今着きました。遅れてごめんなさい。どちらにいらっしゃいますか?」
 見通しがよいガラスの外を探す男。帰宅時間と重なっていて人通りが多い。メールによるとダークブラウンのコートにファーマフラーを着けているという。
 しかしこの時期似たような姿の人ばかりで見つけ辛い。
 電話をかける。六コールめに出て女の名前を確認すると待ち合わせ場所の向かいにある店の名前を伝える。
「見えますか?」と聞くと「見えました」と店の名前を再度聞いてくるので「そうですそこです。お待ちしております」と電話を切ると、やがて女がガラス越しに見えてくるので手を振った。
 男の写真も既に送ってあることから、女は気づく。店内に入ってきて「はじめまして」と深々とお辞儀をするので、すぐに横に座らせた。
「そんな堅苦しい挨拶はいいんですよ。それよりも何か飲みますか?ココアでも飲んで体を温めるとよいですよ」
 男は促す。ここからの料金はすべて女性持ち。席に座ってもずっと俯いている。
「今日は思いのほか寒くなりましたね。写真ではロングでしたが髪を束ねると、より美しくなりますね。お会いできて光栄です」
 女は俯いたまま黙っている。
「初めてで緊張しているかもしれませんが、貴女の意思を最大限尊重しますので、お気に召しませんことがありましたら、遠慮なく仰ってください」
 沈黙。注文したココアが運ばれてくると女は小さく会釈して、また黙る。
「何か、仰い辛いこと、ございましたか?」
 ふと顔を上げ「あの……」と意を決して女は口を開き「すいません」と突然謝り出す。
 もしキャンセルでも文句は言えない。しかし女が話した内容は注文だった。
 今日一日男の名前とは違う名前で呼ばせてほしい、と言う。
 快く了承する男の笑顔に、ようやく笑顔が出てくる女。
 安心した女は吹っ切れたように明るくなる。
「それじゃあいきましょうか」
 女は言葉尻に男とは違う名前で呼び、腕を絡めてくる。 先ほどの消極的な態度とは打って変って明るくなっている。
 あたたかな室内から寒い外に出ると縮み上がるような思いの男。「寒いね」と違う名前を呼び、ますます寄り添い腕を絡める女。
「滑るね。転ばないように気をつけて私を守ってね」
 嬉しそうに見つめてくる女。イルミネーションの輝きを反射させる瞳の奥は男とは違う人間を見つめている。
「ねえ」と声をかけられる度に女は違う男の名前で呼ぶ。
「服見にいこうよ」
 違う名前で呼ばれる度、男には疑問が募る。その名前の主と女との関係。
 今は考えて気分を害してもしょうがないと言葉に従い、調子を合わせる。
 エスカレーターでも腕を組み、離そうとしない。時折通行する人の邪魔にならぬよう、さりげなくエスコートしながら微笑みを崩さぬ男。
「優しいね。いっつも人のこと思いやってるもんね」
 言葉尻に名前を出したとき、ふっと瞳が曇り、思い出に浸った悲しみが映り込む。
「……くんに見てもらいたい服があるんだ」
 聞き取れないほどの弱々しい声から、吹っ切ったようにまた明るくなる。
 あるブランドのコーナーへと着き「ここだよ」と服を見回し始める。
 目当ての服を探していなかった。何着も選び腕に抱え出したので代わりに男が持った。
「あの時の服、やっぱりないね。でもいい。またいっぱいあるものね」
「そうだね」と無難な相槌を打つ。
「ねえ、覚えてる?あの時のこと」
 尋ねられて男は迷う。「はい」か「いいえ」か。いや、ここは二人の思い出なのだろうから「はい」の方だと決断し「ああ、覚えているよ」と男は答えた。
 もし、じゃあ答えてなどと意地悪を言われたら困り果てていたが、女の方は帳尻を合わせて話を進めた。
「二年前の冬、私が仕事で年末前にして大失敗した時、服でも買おうかって言ってくれたよね。忙しかったのに、あの時本当に嬉しかった。仕事大丈夫って聞いたけど平気なふりして。でもかなり無理したんだよね。師走はどこだろうと忙しいのに。私もそんな暇ないって思ってたけど、強引に誘ってくれて……」
 服を選びながら女の話は止まらない。一着、もう一着と男に持たせていく。
「ごめんね。重いよね。だってどれも素敵だから迷っちゃうんだ。仕事のこと忘れて、今日少しだけでもお洒落してみなよって。試着するだけでも楽しかった。着飾る気持ち思い出して、失敗の埋め合わせのことばかり考えて暗い気分になっていたけれど一着だけプレゼントしてくれたよね。一着買ってあげるって言ってくれた時、びっくりして何度もいいの?って聞いたけど、本当に買ってくれて、なんだか申し訳なかったけど、嬉しかった。私のこと、本当に思いやってくれてるんだって。あなたしかいないって気持ちになったんだ。すごい幸せだった」
 女は六着ほど男に持たせて試着室へと向かう。「待っててね」と個室のドアを閉める。男は待つ。
 しばらくして「どう?」と着替えた女が出てくる。
 薔薇のコサージュ(花をモチーフにしたアクセサリー)が胸元に三つついた白のティアード(スカートに向かって生地が段々になっている)フリルワンピースを着てくるりと回る。
「綺麗だよ。もっと見せて。たくさん目に焼き付けたら次を着てもらおうかな」
 嬉しがり女はスカートの両裾を持ち上げ中世の婦人のように挨拶をする。
 コートを脱げば白い肌が目立つ。足が長く人前に出れば周囲より際立つだろうと男は思った。
「堪能した?」
 女が微笑む。男の返事に試着室にまたこもる。しばらくしてチュニックワンピース(緩やかで短めのワンピース)姿で出てくる。上がボーダー柄、スカートが黒になっている。その他着替えていったが普段着というよりドレスに近いものが多かった。三着は確実にパーティー用などに着ていくタイプのドレスで色は白一色だった。
 最後に見せてくれたのが背中がバタフライレースになっているフリルスカートの白いドレスだった。
「どれがいい?」
 女は最終決断を迫るが男ははぐらかす。
「どれも素敵で決めきれないよ。さっきのピンク色のワンピースもよかったし」
「そう?私は花柄のやつもよかったな」
 既に試着だけで一時間近く経とうとしていた。閉店の時間も迫ってきていて、さすがにこれ以上迷ってはいられない気持ちが男に起こったが、彼氏ではない。今日一日の時間を買われているのだ。妙な言動で女の気持ちを阻害することははばかられた。
「何か気に入ったの、一着買ってあげるよ」
 男が優しげに言うと女は「本当?嬉しい」とはしゃいだ。
「じゃあ、どれがいい?これ?それともこれ?」
 両手に持ってあれこれ示すが五着も他にあるので手に持ちきれない。
「あーん。全部いいな。ねえ、選んでよ」
 女は名前を呼びながら「男」の「一番好きなもの着る」と真剣に見つめてきた。
 男としては緊張の一瞬。女にとっての最善の選択をしなければならないのだろうが、男は直感的に自分の好みに決めようと思った。
「ちょっと今着ているものの背中見せてくれないかな」
 女は背中を見せる。思ったよりもレースが深々と背中に入っていて、後ろから見ると前の印象とは違い大胆だった。
「これが一番セクシー。綺麗に見える。肌が白いから蝶のレースが羽が生えているみたいに肌に馴染んで見える」
 男の説明に女も大いに気をよくして「そうなんだ。じゃあこれ」と決める。
 会計一万八千八百円。後で料金に計上するためにレシートをもらう。「買ってあげる」とは言ったが情に流されてはいけない。これも商売のうちだった。
 レジの横にはホワイトのクリスマスツリーがあり色とりどりの電飾が光を放っていた。それを少しだけ寂しげに見つめる男は「プレゼント用に包装しますか?」と店員に聞かれ「頼みます」と微笑む。
 白い箱に赤いリボンが十字に飾り付けされる。
「はい。プレゼント」
 渡すと女は「嬉しい。本当にありがとう」と本当にプレゼントされたように喜んでいる。
 男は契約内容を女が勘違いしていないか、やや心配になった。
 この商売では埋めようとしても埋められない溝が相手との間にある。先ほど買った女の荷物を持ちながら今日ほど実感することはなかった。違う「男」を演じて時間を過ごすことは初めてのケースで男も戸惑っていた。
 どうすべきか。自分のペースに引き込んでいいのか。女が抱く「男」のイメージを邪魔しないようにするべきか。
 外はより冷え込んでいた。粉雪が舞っている。
 道路に落ちた粉雪を車が粉塵のように巻き上げる。
 先ほど「着替えてから行こうか?」と男は言ったが、「いい。値札だけ切って」と店員に指示していた。
 腕をきつく組む女。
「男」の名前を呼ぶ。違う「名前」にも慣れてきた男。
「なに?」と答えると「やっぱり服、私が持ちたい」と荷物を大事そうに持った。
 荷物を持ちながら腕を組むので「重くないかい?」と心配する。
「大丈夫」と見つめ返してくる。
 外見は誰が見ても付き合っているカップル。しかし明日には別れる他人同士。
 カウンセリングのことを忘れているわけではない。ただ、今はこの状態を崩してしまうことが女の傷を抉ることになるのではないかという恐れが拭えない。無闇に野暮なことはこの状況では聞けない。聞けず仕舞いになってしまうかもしれない。
 それでも、いいか。
 無理に傷を知ることだけが心を癒すことではないと知っていた。
 女は白い息を口を細め長く吐く。粉雪に当たる。
 きっと吹きかけただけで溶けて消えるほどの小さな粉雪。
 白い息が消えた後、見失ってしまうほどの粉雪。
「どこか、飲みにいこうか」
「うん」と「男」の名前を呼ぶ女。
 より強く引き寄せるように腕をきつく抱いてくる。
 店に入るとカウンター席に二人は座る。
「やっぱりドレスにしてくればよかったかな」
「どうして?」と男が聞くと「カウンターの奥の席」と小さな声の女。
 女が言った場所には真紅のドレスの女がいた。胸の中央がダイヤの形に開いていて、恐らく背中もほとんどないかもしれない、と男は思った。夜の商売をしている臭いがする。
 赤のルージュが物憂げに開き、ゆっくりとした動作でタバコに火をつける。
「もう、見すぎだよ」
 女が少しすねる。
「ごめんね」と髪をさりげなく撫でると「あっ」と小さく声を上げた。
 少し頬を染めている。
 女の洋服も悪くないことを告げると、「ありがとう」と赤くさせたまま言った。
 カシュクールワンピース(着物の裾のようにゆったりと前で布を重ね合わせたような服)が鎖骨から首筋までを浮き上がらせている。
 厚ぼったいコートを脱いでうなじの見える洋服姿で隣に座られると、樹氷を垂らしたようなシルバーのピアスも目立ってくる。
 微かな女の香りが男の心をくすぐった。
 男のカクテルはマティーニ、女は春の名残り雪。
 春の名残り雪はライムや乳酸飲料が入った後味のさっぱりしたカクテル。
 透明より少し濁ったマティーニに、薄く青みがかった春の名残り雪。
 薄い氷と薄明かりに照らされた雪がテーブルの上にある。
「春の名残り雪か。名前だけ聞くと季節としてはまだ早いカクテルだね。綺麗な色している」
 女はしばらく黙ってカクテルを見つめていた。
「そう。でも、ぴったりかも。こんなにうっすらと青くて、冷たくて、美しくて、酔ってしまう。だから、今の私にぴったり」
 男には女が一瞬だけ素に戻った気がした。
 グラスに口をつけ、半分だけ飲み干す。
 女がカウンターの上で指を少しだけ絡める。
「この後、ホテルに行くんでしょう?」
「もし、よろしければ」
 女は少し怯えていた。指が微かに震えている。
 男はそっと握り返す。女も絡められた指に力を入れる。
「行きます。行きたいです」
 思い詰めたように一瞬うつむく。「男」の名前を呼び、決心したように見つめる。
「お願い、抱いて」
 女の瞳を覗き込むと瞳がうっすら濡れている。
 少なくとも官能への期待を讃えた潤みではないことを男はわかっていた。
「喜んで」
 男は指を絡めたまま見つめ返す。
 店を出ると腕ではなく手を握る女。
 手袋もつけずに握るので男は女の手をコートのポケットの中へと入れて温めた。
「男」の名前を何度も呼んできた女。しかしこれから抱かれるのは、女が擬似的に見ていた「男」ではない。震える気持ちもよくわかる、と男は思った。
 ホテルの部屋のドアが閉まると女を優しく抱きしめる。
 雪で少し濡れた頭をなで、背中をさする。
 コートを脱ぎ、広々とした部屋の中へ入る。
 ベッドを目の前にすると、男は少しだけ緊張する。
「先に、シャワー浴びてきてもらえませんか」
 女の言う通り先にシャワーを浴び、女が浴び終わるのを待つ男。
 手荷物をほとんど持っていったのが気になった。ドレスの箱もない。
 バスローブで待つのも露骨すぎるかもしれないと思い今回ばかりは元通りのスーツで待つ。あれだけ震えていたのだ。心変わりすることもあるだろうと思った。
 結果的には正解だった。
 バスルームから出てきた女はドレスに着替えていた。白いドレスを身にまとい、うつむきながらゆっくりと男へ近づく。
 男は椅子から立ち上がり女の手をとる。
「初夜みたいに……」
 と女は小さくつぶやく。
「結婚初夜?」
 聞き返すと「そう。結婚初夜みたいに、抱いてほしい」とうつむいたまま言った。
 弱々しく震える女。
「わかった」
 と男は手を握った。
「ありがとう」
 そうわずかにほほえむ女へ腕を差し出すと、手が添えられた。
 ゆっくりとベッドまで進んでいく二人。
 焦らず、一歩一歩進んでいく。
 ベッドの前まで進んでいく。
 男が唇へ優しくキスをすると涙がすっとこぼれた。
 抱きしめ背中を両手でさすりながらベッドへと座らせていく。
 少しずつ女の小さな震えが消えていく。
 キスを繰り返し、舌で唇を割り、中へと絡めていく。
「んっ……」
 小さな声とともに吐息を漏らす。
 最初驚いたように舌が奥へと引いたが、やがて舌先から確かめるようにして絡め返す。
 口元から漏れる吐息が激しくなってくる。
 舌を吸い込みながら男は口を離す。
「落ち着いたかい?」
 髪をなでると女はうなづき「ありがとう」と「男」の名前を呼び、礼を言った。
 男はドレスを見つめる。
「ドレス着たままでしたいな。脱がすのがもったいないくらい」
 女はそれを聞いて「ふふ」と笑った。
「エッチ。でもいいよ。私もお願いしていい?」
「どんなことでもどうぞ」
 少しずつ二人の緊張は消えていっている。
「舐めたいの……」
 男はうなづき寝そべると、女がベルトを外しズボンを下ろす。
 盛り上がった下着に指を添えてさする。
「男」の名前を呼び、「愛してる」とつぶやく。
「俺も愛しているよ」と返す。
「うん。愛してる。心から愛してる。私たち結婚したんだよね。ようやく。本当に嬉しい。ずっとこの日を夢見てた。ずっとずっと……」
 女は男の膨らみに頬ずりをする。下着を脱がせ出てきた雄肉を手で持ち、竿の横から舐め上げ始める。
 背中のバタフライレースが時折見え隠れする。女は先端を口に含み雄肉の傘の周囲を口内で舐め回している。
 男の肉は飴のように溶けて、女の舌の刺激で石のように硬くなる。
 心の中で必死に「男」のことを思い浮かべながら女は舐める。少しずつ口を落とし込み、深く咥えては出す。
 決して激しくはしない。焦らすように、ショートケーキの苺が傾かないくらいの優しさで舌をはわせている。
 官能の刺戟としては物足りなさを感じるほどだったが、女の想いを思うと心に響いてくるものがあった。
「俺も、舐めていいかな」
 女の髪をなでながら聞くと頬を染めてうなづいた。
「お尻、こっちに向けてよ」
「ええ?」
 女は顔をより赤くさせながら驚いていたが、やがて決心したように「新婚初夜だもんね」とほほえみながらストッキングと下着を脱いでいった。
 女のお尻が男に向けられる。女は目の前の雄肉へ続きをしようと口をつける。
 男は目の前のスカートをめくる。炊き上がった米のようなつやつやとしたお尻が目の前に現れる。お尻の肉を両手で割ると、ピンク色の綺麗なラビアが見える。生娘のように美しい花が咲いていた。
 男は舌先でラビアを舐めあげると、女は跳ねたように「あっ!」と声をあげて雄肉から口を離した。
 再度女は続けようとするが男の舌が何度もラビアを往復するたびに声をあげて握ったままの雄肉を口の中に入れられないでいた。
 ラビアがやがてぬめりを帯びてくると男は舌をより割れ目へと食い込ませる。
 女は腰の力が抜け勝手に官能のよろめきを得たように震え、熱く蜜が垂れてくるのがわかった。男の舌の優しげな動きに「名前」を呼ぶ。喘ぎながら「いい。いいの」と声をあげるが、物足りなさに自ら腰を男の顔へ押し付けてしまうほど刺激を求めたくなってきていた。
 積極的に求めたいが燃えるほどの恥ずかしさも込み上げてくる。自らラビアを押し付けている自分に気がつきながらも男がより積極的になるのを心の中では熱望していた。
 男の口がラビアの奥に潜む肉芽を勢いよく吸い上げ、舌先で転がすと、転げ落ちるような悦楽が腰骨から砂塵をあげて走るようで、女ははしたなく声をあげてよがった。
「あ、あ、ああああああああ」
 震えたよがり声を叫ぶ女の頭は脳が溶けてラビアから漏れでているのではないかと思うほど白くなってきていた。もっと欲しい。もっと。足りない。足りない。そんな思いが次々と溢れ出てきて蜜を垂らせ、男の顔を濡らせた。体はもう理性を失っていたが口走る恥じらいが最後の抵抗をしていた。男が執拗に肉芽を摘んでしまうほどに吸い上げると女の肉欲は内から流れ出す。
「欲しい。お願い、欲しい」
 ついに女の理性が崩れ去り口走る。
 男はドレスを着せたまま上に乗せる。女は雄肉を持ちながら入り口に当ててゆっくりと落とし込む。肉を割いて激しく蛇行し走り昇る官能の咆哮が体をのたうちまわるようで鳥肌を立たせた。雄肉がきつく中を圧迫して苦しいほどだったが、今の女にとってはそれが痺れるほどよかった。
「ああっ!いいの!いいの!」
 没頭したように腰を振り出す女。白いドレスのスカートの奥では淫らな営みが粘液を絡めて繰り返されている。「男」の名前を狂ったように呼び出す。
 愛してる。大好き。ずっと一緒。繰り返し放たれる言葉は喘ぎ声とまじり叫び声になる。
 蜜がどろりと溢れだしスカートの奥で水を叩くような音をならせている。腰を打ち付けるたびに男の肉は女の肉体という容器をえぐり、ラビアから掻き出していくようだった。男の肉で体中がいっぱいになる。女は「男」の名前を連呼しながら叫ぶ。
「愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してるのっ!」
 白いドレスの女は淫らに腰を振り、愛液を吐き出しながら男の肉を貪る。女の動きの激しさに男は限界を感じ始め告げる。
「ああ、私も、私も逝きそうなの。一緒に、一緒に逝こう。お願い、中にいっぱい出して。いっぱいにして」
 腰の動きに合わせ、男の突き上げが激しくなると、突き上げられるたびに気を失いそうになった。体中が激しくざわめいて自分の声すら遠くなっていく。遠くで「逝く、逝く、逝くう」と口走っているのが聞こえた。ざわめいた肌が一斉に揺れ動き悦楽が走る。体の中が勝手に跳ね回り果てた感触がうねる。精液の感触が腹に広がり雄肉を絞り上げるのがわかる。
 何も考えられなくなるほど白く果てた。
 入れたまま男の胸に倒れこむ女はしばらく息を切らしていた。
 薄目を開けて見える世界。
 男の鼓動が聞こえる。
 ここは、どこかの部屋。
 抜け殻のような女。
 息をすることを止めたらこのまま死んでしまうのではないかと女は思った。
 胸へ耳をすます。血の流れる音が聞こえる。
 大きく深呼吸をして息を整え、男の顔を見つめる。
「男」の顔ではない。依頼を頼んだ男の顔が見える。
 腹の奥底から込み上げてくるものがあり、嗚咽する。泣き叫び、子供のように大粒の涙を流しつづける。男の腕に抱かれ、男の肉を入れたまま。目が赤く腫れ上がるほど泣きじゃくる。溜め込んだものをすべて出し尽くすほど泣き続けた。
 どれほど泣きつづけたのかわからない。男の肌に塩の結晶ができるのではないかというほど泣いた。
 女は男の顔を見る。
「ありがとう」と初めて男の名前を呼んだ。
 男は何も言わずほほえむ。ずっと入れたままで泣きじゃくっていたのに、まだ男の肉は硬さを保っていた。
「すごい」と女はようやく笑う。
「何が?」と聞くと「まだ硬いんだもん」とキスをした。
「ねえ、もう一度、いい?今度はちゃんとしたい」
 女の言葉に「もちろん喜んで」と応じる男。
 ドレスを脱ぎ、真珠色の肌を晒す。
「また、上に乗っていい?」
 女の言葉に「ああ」と返事をする。
 再度またがり「きつくて、いいの。今は隙間なく埋まるほどのこれがいい」と言いながら腰を落とす。
 露になった乳房を揉まれながら腰を突き上げられると「ああ、きついい。奥に、あ、あたるうん」ととろけた声を上げる。
 乳首が感じて盛り上がってくる。
「もっと、強く握って」と喘ぎ混じりに言うと潰されるほどに強く握られ、膣が締まるのがわかった。痛いほどの刺激が今は欲しかった。
 乳房を痛いほど揉まれながら激しく腰を振る。中に詰まっている精液が音を立ててかき回される。メレンゲになるのではないかと思うほど腰を回しながら振る。
 大きな筒で体の奥を叩かれるような快感。出てくる喘ぎ声も、気持ちが軽くなったせいか出すごとに大きくなり気持ちよくなってくる。
「ああ、違う。さっきとは全然違うの」
 息を切らし、伸びやかに喘ぐ。
「はあううん」と深呼吸でもするかのように喘ぐ。
 苦しい。でも、すっきりしたように気分がいい。爽快に快楽が走っている。
 男に背を支えられたまま倒される。「え?」と少し驚きながらも今度は正常位で突かれる。男の肉が走る、走る、走る。強く抱きつき男の耳元で大きく喘ぐ。また来るのがわかる。果てるのも近い。
 男の腰がより激しくなる。
「そんなにしたら、もう、ああ、ダメ、ああああん!」
 体中が一瞬だけ硬化して溶けて広がる。また白くなり果てていく。男も同時に果てたようだった。溶けて垂れたような、あたたかな雫が一滴胸に落ちて滲んでいくようだった。
 あっという間の夜。
 身支度を整えて二人は部屋を出る。
 買ったばかりのドレスをしわくちゃになったシーツの上に広げて置く。
「いいのかい?」
 男の問いにやわらかな微笑みをたたえる。。
「いいの。もう、全部この部屋に置いていける。この部屋を出たら、もう前の私はどこにもいない。だから、全部ここに置いていく。この部屋を同じ気持ちで開けることは、もう、二度とないから」
 女の決心に「わかった」と男は微笑み返した。
「これ。もし少なかったら言ってください」
 女は封筒を手渡す。手に取ると厚みがあり、重い。十万二十万ではないだろう。
「こんなに……」
「いいんです。会えてよかった。本当に。だから、いいんです」
「ありがとう」
 男は女のこれからの幸せを心に念じながら封筒を内ポケットにしまった。
 ホテルを出ると人通りはもうまばらだった。
 一度だけ強く息を吐いて吸い込む女。
「よし!」と言って「じゃあ、ここで。私行きます」と男に頭を下げた。
「ああ。元気で」
 言葉少なめに別れる。
 タクシーに乗り込みテールライトの赤が曲がって見えなくなるまで見ていた。
 晴れ渡った冬の夜空には手の届くほど近い星が街の光に負けじと輝き灯っていた。

テーマ : 官能小説
ジャンル : アダルト

キャンドルナイト scene2 「雪の女」

 その男は妙な夢を見た。
 明日、死ぬ夢だ。
 轟々と嵐の音が聞こえる。
 街のビルに取り付けてある大きなスクリーンの天気予報では明日も吹雪らしい。
 激しく地面にたたきつける雪は容赦なく、つけられてすぐの人々の足跡を埋めていく。
 命の足跡を消していくかのように。
 アーケードの下でダンボールに囲まれ、毛布でかろうじてその日をしのぐ。
 今や男の生活は持ち直しようもなかった。
 日々の暮らしをわずか二三百円で生きていく男の体力はここ一週間、飽きずに続く冬の嵐に奪われていった。
 男の頭を過去がかすめる。
 結婚して妻もいた。男児にも恵まれた。順風満帆な生活は、不況と、そして少々の思い上がりで崩れた。それは時代の流れを思い上がりで見切れなかった男の過ちだった。
 痛感していた。男は、過ちを。こんな時代が来るとは。こんな生活に落ちぶれようとは。
 楽しかった日々もあった。あたたかな家庭生活や、子供の笑顔、妻の優しさ。
 しかし、妻は愛よりも、生活を優先させた。子供の将来を案じた。それもまた愛なのだろう。
 妻は、かつて社長だった男から離れて生活することを選んだ。
 男がダンボールの中で身を縮こまらせ、寒さに耐えながら目をぎゅっとつむると、ロウソクの灯りが見えた。五本だけ。
 五歳になる男の子のバースデーケーキの上に立てられた五本の小さなロウソク。
 晩婚だった男のその年のロウソクの数は五本だった。大きなロウソク、五本。
 息子と同じ年に同じ数のロウソク。お前はパパにすぐに近づいて追い越すだろうなと言った自分の言葉も皮肉にさえ聞こえてくる。
 何も恨んではいなかった。ただ彼女が、息子が、幸せに生きていくことを願っていた。
 最後まで、愛していた。そして今も。
 現在の時間はわからない。ダンボールの外で若者たちが酔っ払いながらギャイギャイと騒ぐ声が聞こえてくる。
 誰かが酔っ払ってなのか、ダンボールに倒れ掛かってきて潰す。
 男はそれで目を覚ました。
 外から声が聞こえる。
「うわ、お前きたねぇなー。そんなホームレスの家なんかに引っかかって」
 ギャハハハハ。
 数名がどっと笑って茶化しあう。
 男はダンボールの外に出ると、学生のような若い連中が六名いた。
「うわっ、出てきやがった」
「おい、てめえ見るなよ!」
 酔っ払っているせいか、若者たちも怖いもの知らずの様子で男をにらんでくる。
 ダンボールの一番傍にいた男が「ごみ野郎!死ねよお前」と男の顔を足蹴にした。
 正面から蹴られたため、男は鼻血を出しながら訴えた。
 しかし若者たちは聞く耳持たず、余計に面白がってあおりだし、最後には全員が加わって男をリンチにした。若者らにとって、価値の認められない他者の扱いなど、どうでもよかった。ただ自分たちが不愉快になった、という一方的な気持ちと集団の軽薄的なノリで限度なく飽きるまで蹴りつづけた。その間、通りかかる人間は誰も止めはしなかった。
 ぼろぼろになった男は全身の鈍さを感じた。痛みすらも麻痺するようなひどい打撲だった。
 男はきしむ音が出てくるかのような体を起こし、アーケードの外、まだ轟々と吹雪いている外へと歩き出した。命を、存在を軽んじられることほど辛いことはない。必死にしがみついていた最後の糸がプツリと切れて、生への終着は闇に消えた。
 深夜、人通りも少ない。男を見たとしても避けるだけだ。
 見知らぬ汚い男を誰も助けはしない。
 ふらふらと歩いて、男は公園のベンチに座った。
 もう、体が動けないほどに硬直していた。打撲した傷跡で、全身に突っ張ったような感触が体を固めてきてた。
 容赦なく叩きつけてくる雪が男を雪の彫像のようにしていった。
 その中で、男は妙に心地のいい眠りに誘われていった。凍てつくような痛みも、硬直してくるような打撲の痛みも、すべてに絶望したような心の痛みも、まるですっかり抜け落ちて空へ浮いていくかのように、体が軽くなる気持ちを覚えた。
 そして、男は幻なのか、女を見た。
 自分から離れていった、あの美しかった妻を。
 男は心から悔いる言葉を告げた。ひざまずき、涙を流し、お前を不幸にした悪い男だと。
 妻だった女はほほ笑みながら、男を抱きしめた。子供にも、悪い父親ですまなかったと伝えてほしい、と泣きながら訴えた。
 今でも、あなたを忘れずに覚えています。あなたを助けられない悪い妻でごめんなさい。私をどうか許して。
 妻の言葉は男を嗚咽させた。積年の悔やみを許された気がした。
 まるで周囲が光に包まれていくかのようだった。
 俺はもうダメらしい。お前の肌のぬくもりは一日として忘れたことはない。どうか、今日一日だけでも、お前のぬくもりを感じられたらと思っていた。ありがとう。こうして触れられるだけでも、俺はもう思い残すことはない。
 そう男は言いながら、女の手をさすっていた。あたたかくて、余計に泣いた。
 お前は、変わらない。でも少し苦労したようだ。俺のせいで、すまないな。この手は、俺が苦労をかけた分、やせ細ったようだ。
 女は首を振り、男を胸へと抱き寄せた。
 男は女の柔らかな胸の中へと吸い込まれていき、心がほっと安心する気持ちを覚えた。
 女は服を脱ぎ、柔肌の中へと男の顔を吸い込ませた。寒いでしょう。どうかあたたまってください。
 しっとりと汗ばんだ女の肉は、ぴったりと吸い付いて離れないかのように、男の肌を包んでいった。
 男は女の名前を読んだ。
 女は男の名前を読んだ。
 女が名前を呼ばれた時、女はほほえんだ。
 男が名前を呼ばれた時、男は涙をあふれさせた。
 男はその感涙と謝罪にあふれた心で、女の乳房に吸い付いた。まるで赤子のように、噛み付くかのように、女の乳房を求め続けた。舌を絡めるように、出ない乳を求めるように、音を立てて吸い込み、硬くなった乳首を這いずりまわった。
 女の息は荒くなり、男を余計に力強く抱きしめた。声を押し殺し、喘ぎそうになる恥じらいに抗った。
 男は窒息しそうなほどの抱擁の中で、涙を女の胸にしみこませていた。
 情けない男だ。お前の胸のほうがずっと涙にあふれているというのに、俺はお前の胸に余計に涙を擦り付けるなんて。ダメな男だ。すまない。本当にすまない。
 かろうじて告げた男の言葉に女は答えた。この世界でどれだけ愛しているかを。
 そして、たったひとつだけ大きな衝撃を与えた。
 ごめんなさい、一人子供の命を奪ってしまいました。あなたとの子です。流産になってしまいました。ごめんなさい。本当にごめんなさい。
 女の言葉に男は言った。
 大丈夫。俺が立派にその子は育てる。安心しろ。大丈夫。大丈夫だ。
 互いを掻き切るようなむさぼりあいが続いた。男の肉は女の奥を貫き、女はとろけるような肉の抱擁で男の骨までしびれさせた。唇は繋がり、舌は互いの口内で舐め回し合っている。
 言葉もなく、ただ激しい吐息とともに。
 愛だけが、飢えだけが、それを成せた。
 女は体を激しくくねらせ、男の愛撫と攻めをすべて受け入れた。
 男は女の底知れぬ抱擁に、狂うように、壊してしまうかのように激しく女を求めた。
 互いに二人は狂いあい、互いに二人は高ぶりを喜びあった。男は注ぎ、女は受け止める。
 濡れたままの裸体を引き抜き、互いの性器をしゃぶりあった。すべてを愛しみ、体すべてをぶつけたい一心で。
 乾いた犬のように、音を立てて水を飲みあった。
 互いの淫乱な気持ちさえも、高ぶりを見せ合って、枯れることなくあふれ出していた。
 男の肉もしなるどころか、ありったけの咆哮のように天へとそそり立った。
 女は頬張った肉をすすり上げ、絞り上げ、肉を刺激し、硬くなる男を唾液で塗り固める。
 男も負けじと女の穴に舌をねじり込み、抜き差ししては肉芽を吸い上げ舐め回す。
 抗い、喘ぐ。出てくる声に唇を噛む女。抑え、悶え、震え、漏れたように流れ出る汁。吸われ、音は響く。破裂し、淫らになる。またください。また貫いてください。お願い。欲しい。また奥まで入れて。
 懇願の涙は女の肉の裂け目から止めどなく流れる。喜びに満ちた涙を割いて、肉を突き入れる男。
 女を寝かせ、乳房を吸い、腰を振る。
 女は足で男を挟んで、絡み寄せる。濡れた肌同士がぶつかり合う音。あふれた女の汁は互いの股間を浸している。乳房から脳へと伝わる電流に、男の頭をしがみつくように抱く。
 女のしがみつきに頼りにされている気持ちを覚える。
 大丈夫。俺はここにいる。愛している。お前を生涯愛している。命尽きても、お前を愛している。
 心の中で女の名前を何度も呼びながら、叩きつけるように肉を突き入れ、奥へ当てる。締め付けて離さない肉の抱擁を乱せば乱すほど、より締め付けてくる。卑猥に叩きつけられる肉の音。
 届いた男の肉の先が全身を波立たせる。また来る。あれだけ果てたのに、また。
 二人の人生のすべては、今この瞬間に結集しあっているのだと言わんとばかりに、言葉もなく激しさを増していく。
 最後にぐっと突き入れた瞬間、男の肉の先からほとばしる熱い液。
 女は絡めた足でしっかりと男を挟み寄せながら勢いよく出る液を感じて果てる。膣を何度か絞り、男の液を吸う。漏らさないように引き抜き、四つん這いで男の肉を綺麗に舐めあげようと口をつける。
 しゃぶりあげる女の口は淫らな音を立てて吸い付いている。ふっと力を抜くと膣から男の液が漏れて白く垂れた。
 男は女を抱き寄せ淫らさの残る体で口付けをする。舌を出し合い、絡め、吸い合い、貪る。
 吸い上げる口が女の体に宿る愛情をすべて吸い尽くし飲み干そうとするかのように。
 枯れることはなく、飽きることもない。何度繋がり合ってもいい。果てても果てても、鎮火することはない。
 命をはじけさせて、今二人は血をたぎらせ、魂を燃え上がらせている。より、燃えてくる。
 ロウソクの炎が最後激しく燃え上がるように。
 淫らな口付けに、女の淫靡な灯火がまた宿る。
 どうしましょう。どうして私こんな。こんなに淫らになっていいの?ああ、また欲しいの、また我慢できなくなりました。あなたの太いもので、また私を喜ばせて、お願い、また幸せが欲しいの、お願い、お願い。
 女の懇願する言葉に男は答える。不思議と萎えることのない肉を最愛の情を持って女の裂け目にあてがう。
 俺もだよ、お前が欲しい、滅茶苦茶にかき回して、お前を壊したい、入れさせてくれ、貫かせてくれ、お前が欲しい、お前のすべてが欲しい。
 まぎれもない。世界の中心は二人で、世界のすべては二人で、重なり合う二人は、もう他に何もいらないほどの高まりをみせていた。
 男は滑り込ませるように女の奥へと自身を突き入れた。根元まで女の奥へと滑り込ませると男は猛り狂って激しく女の奥をかき乱した。
 尽きることのない思い。終わりのないリフレイン。
 男は思う。永遠にこの時が終わらなければいい。この幸せを終わらせたくはない。男は既に溺れていた。
 卑猥な音が響き、女の艶めいた狂い声が聞こえてくる。女の理性は既に弾けていた。二人は言葉を言い合おうとしたが、それさえも言葉にならなかった。
 粘着質な音が互いの声にかき消される。
 水が散り、肌にぶつかる音。
 しぶきが肌を濡らし、互いに吸い寄せる感覚。
 呼応しあい、かけあうように高まる淫らな叫び。
 ぶつかり合う肉の音が、離れたがらないように抱きしめあっている。
 絶頂に達しそうな高ぶりが二人を包み、慈しみの声が光のように広がり出す。
 男は天空の花園を見たような心地で、女の中へと射精し続けた。出る。出て行く。止めどなく。
 白く、白く、ほとばしる液を、聖母が受け止めていくようだった。
 男は白がどこまでも広がっていくような気がしていた。
 自分の命が解放されていくように、少しずつ体が浮いて白くなっていくようだった。
 女が溶け込んで、羽でも生えたかのように。赤子のように抱かれ、安らいでいくように。
 そして男は至上の光を見た。

 朝になり、ようやく吹雪は止んでいた。
 積もりに積もった雪は、人が歩くのも困難なほどだった。
 早朝の光が公園を照らす。
 足跡はなく、静けさが雪原の上を滑っている。
 光がビルの谷間から少しずつ広がり、雪原の上を走る。
 ベンチにいた男は、横たわっていた。
 真っ白な雪に包まれて、まゆのようになって、息絶えていた。
 まゆの中の男の顔は安らかで、子供のように眠っていた。
 今では、きっと自分の子供と会っているだろう。
 あたたかな笑顔で、あたたかな世界で。
 人が動き出す。
 街は動き出す。
 かすかに響いた孤独な命の声も、まるでなかったかのように。
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貴美月カムイ

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